そんな話をしていると、不意に教室前方の扉がガラッと開き、佐原先生は入ってきた。

そして先生に続いて、長身の男の子が教室に足を踏み入れる。

途端。『キャー!』という、女の子たちの黄色い悲鳴。


「やば、ホントかっこいい!」

「てか、身長高い! 180くらいあるよね!?」

「クール系って感じの顔〜! やばい、超タイプ!」


口々に興奮する女の子たち。


「あー……そういうタイプかぁ」


ちょっとがっかりしたような、意外と落ち着いた陽菜の声。

それらを耳にしながら、私はただ、呆然としていた。


「…………」


ぽかん、と間抜けに空いた口が閉じられない。


艶やかな黒い髪に、鋭い瞳。
180cmくらいの長身で、しなやかな細身の立ち姿。

瞳の色こそ赤色ではないけれど。

転校生の彼は、『エレアル』の烈華様そっくりの外見をしていた。