その後電車内では、ぽつぽつと会話はしたものの、どこかぎこちない雰囲気が漂っていた。

が、私の緊張は、美河駅に到着するや否や吹き飛んだ。


「わー、すこい! 『エレアル』の看板だ!」


駅のホームの壁に飾られた、横長の看板。

そこには、セイレニアランドを背景に、『エレアル』のキャラたちがでかでかと描かれていた。


私は、同じく電車から降りた乗客とともに、看板を角度を変えて何度も撮影した。


「優星くん、ごめん! お待たせ!」

「いいよ。それより、はい。これ」


優星くんが渡してくれたのは、ペットボトルのお茶だ。


「『セイレニアは自販機が少ないから、飲み物は持ち込んだほうがいい』って、ネットに書いてあった。

適当に選んじゃったけど、緑茶でよかった?」

「そうなんだ……、ありがとう! お金払うね」

「いいよ。ついでだし、これくらい」


私はそれでも払うと言ったが、優星くんに押
し負けて、結局おごってもらってしまった。