「今日は午後の予定を開けておきます、ゆっくりと体を休めてください。」
「私は平気。今日は大切な会議が入ってるから休みたくないし。」
「リモートでもいいでしょう。」
「だめ。直接顔を出すことに意味があるんだから。それに新作、私も楽しみだし。」
「全く・・・無理しすぎですよ。」
「気を付けます。」
真岸と食堂に向かう廊下での会話。
咲は立ち止まり、窓の外をみる。

「庭園に行く時間、作りましょうか?」
「大丈夫。でも、ありがとう。」
真岸の気遣いが温かい。

「これから代表との食事ですが今日は今後の打ち合わせも兼ねているとのこと。いつもよりも時間が長くかかることを想定するように、代表の秘書からの連絡が入っています。」
「めずらしいわね。」
確かに政信が時間をかけるのは珍しい。
ただでさえ忙しい人。咲との食事のためにいろいろと時間をいつも調整している政信は食事の途中で仕事へ戻ることがほとんどだ。