「今日は、助けてくれて、ありがとう。……ジャージとか、マフラーとか。いろいろ借りちゃったし。おまけに、家まで送ってもらって」
あと少しで家に着く。
その前に、もう一度お礼を言っておこうと思ったんだけど。
今ごろになって気づいた。
旺太くんがこっちに引っ越してきたことは、トモキさんから聞いてたけど。どの辺りに住んでるかまでは、知らない。
「あ、あの…っ!あたし、当然のように送ってもらっちゃったけどっ。旺太くんち、」
「N南。だから、平気」
わざわざ、途中下車してくれたんだ…。
どっちにしろ、迷惑を掛けてしまったことには変わりない。
「ごめんなさいっ」
深々と頭を下げると、旺太くんは、「ん」と短く返事をしたあと、スンと鼻を鳴らした。
「風邪引いちゃうよねっ。うち、すぐそこだし!こ、これ…っ。あと、これもっ。……さすがに、ジャージは脱げないので。これは、お借りしますっ」
マフラーとカーディガンを、旺太くんの手に引っ掛けるようにして返した。
「じゃあ、」
「あ、さっ…さようなら!」
ペコリと頭を下げると、旺太くんは小さく頷いて応えてくれた。
「……気をつけてね」
呟くように言った言葉が、背を向けて歩き出した旺太くんに、届いてるといいな。



