ふたり並んで腰掛けた。
ドスン、と腰を下ろした旺太くんの隣に、遠慮がちに、ちょこん、と。
ぴったりとくっつくわけでもなく、ひとり分が空いてるか空いてないか、の距離。
会話なんて、ない。
なにを喋ったらいいんだろう、って悩んでるのは、きっとあたしだけで。
旺太くんは、あたしの存在なんてまったく気にしてない様子で、目を閉じたまま。
『S駅?』
『え?』
『降りるの、S駅でいいの?』
『あ、うん。そう、です』
そんな会話をしたきり、旺太くんは黙ったまま。
当たり前のように同じ電車を待って。
当たり前のように同じ電車に乗った。
「……きれい」
電車に揺られながら、ときどきチラリと盗み見る旺太くんは、横顔もやっぱり綺麗で。
髪、前よりも暗くしたのかな。
左目の下の、小さなホクロの並び方ですら可愛く見える。
目を閉じてるのをいいことに、チラリどころか、じーっ、と。
このままずっと、眺めてたいな。
なんて。
近くにいる学生や、OLさんも。
たぶん、あたしと同じことを考えてるんだろうな。



