心臓が大きく跳ねた。
誰も居ないと思っていたからか。それとも、声の主に心当たりがあるからか。
ジャリ、ジャリ、と近づいてくる足音に、体が拒否反応を示す。
吐き出す息は震え、心臓の動きは痛いくらいに激しい。
「なんで、居るの…?」
「さぁ?」
薄暗い公園。
声の主は、首を傾げてあたしを見てる。
偶然……?
これって、偶然なの?
「この前は、マジでムカついた。あちこちにアザができててさ」
「………、」
自業自得だ、なんて言葉を返せないくらい、ひどく冷めた目をしている。
もしかして。
そんなことを言うために、わざわざここに?
あたしの後をつけてきたの?
……まさか、ね。
「あれから、イライラがおさまらねぇの。なんとかしてくんねぇかなぁ」
耳の中に、ねっとりとこびりつきそうな声で吐き気がした。
ここに居たらダメだ。
逃げよう。
リュウちゃ…、神崎先輩の横を通り過ぎるのは危険だから、公園を突っ切って、反対側のほうから抜け出そう。
ゆっくりと、でも確実に。
地面に貼りついていた足を剥がす。



