床にペタンと座り、上目遣いでポーズをとる『ゆな』と。
旺太くんの『彼女』は、似ているけれど別人だ。
それなのに、重ねてしまう。
じわじわと目の奥が熱くなって、目の前の世界が滲んでいく。
和葉に気づかれないように、左の頬を机にぴったりとくっつけた。
ペラペラと、頭の後ろでページのめくられる音が響く。
そのたびに、彼女の姿が浮かんでは消える。
カップケーキ片手に微笑む、ゆな。
ゆるく巻かれた髪を指に絡める、彼女。
リップグロスを唇に近づける、ゆな。
旺太くんに手を振る、彼女。
ごちゃまぜになって、浮かんでは消える。
「諦めたんじゃないの?」
「……諦めたよ」
諦めはしたけど、スッキリはしていない。
「好きって、伝えてないからかな。それとも、次の恋が見つからないから…?」
「なに、ごにょごにょ言ってんの?」
「……べつに」
きちんと整えられた眉。
その下の、二重でクリッとした茶色い瞳。
長いまつげ。
左目の下の、ふたつ並んだ小さなホクロ。
かたちのよい鼻。
柔らかそうな血色のいい唇。
忘れたくても忘れられない。
簡単には消せないよ。



