ラブホリック。



しわしわの紙袋の中でドーナツを半分に割る。
不恰好な「C」を自分用に。まだマシな形のほうを和葉に差し出した。

「さぁ。のどのつかえも、この悲しみも。半分こにしようじゃないか」

受け取り拒否されるかと思いきや、和葉は意外にもすんなりと受け取ってくれた。
口走った言葉が急に恥ずかしく思えて、誤魔化すようにドーナツを頬張る。

「口の中の水分が全部持っていかれるわ」

和葉はブツブツと文句を言いながらも、半分こにしたドーナツをゴクンと飲み込んでくれた。


「とりあえず、しまっておこうかな」

クローゼットからクラフト地の箱を引っ張り出した。
途中で書くのをやめた日記帳、小学校の頃に集めていたシール、初めてもらったラブレター。
捨てられずにいる物を保管しておくための箱だ。
蓋を開け、ボトルを入れる。

いつか使うかもしれないし。
努力して手に入れたんだもん。
ほら。賞状みたいなものだよ。

捨てられない思い出に蓋をして、勢いよくベッドにダイブする。

「あぁ。なんか、お腹が空いてきちゃった。どうせ来るなら、プリンとか…。ゼリーでもいいや。そういうスルッといけちゃうやつ、買ってきてくれたらよかったのに」

ひとりごとのように呟くと、和葉からは大きなため息が返ってきた。

ドーナツがのどにつまったようなこの感覚も、明日には、どうか治っていますように。