泣きすぎたせいか、翌朝は頭が重くて起き上がることができなかった。
「頭が痛くて学校は無理」とお母さんに伝えると、泣き腫らした目の理由を問い詰めることもせず、学校に連絡を入れてくれた。
「ひとりで大丈夫?」
「……大丈夫」
仕事に出掛ける準備を済ませたお母さんが、なるべく早く帰るようにするからね、と言う。
そうして、とも。気にしないで、とも言えなかった。
一日中、頭からすっぽりと布団をかぶり、息苦しさに耐えるだけだ。
「……わざわざ持ってこなくてもいいのに」
「わたしだって困るの」
休んだあたしを心配して、帰りに寄ってくれた和葉。
昨日の、手付かずだったドーナツひとつと、忘れていったオイルトリートメントを持って来たのだ。
そのまま店に置いてくれば良かったのに。
シワのついた紙袋の中を覗くと、カタチの崩れたドーナツが寝転がっていた。
きっと、美味しいとも思えない。のどにつかえて苦しむだけ。
オイルトリートメントなんて、もってのほか。
「あげる」「いらない」を何度か繰り返した。
「だって、お昼ごはんを我慢して、せっかく手に入れたやつじゃない」
和葉がそう言ったけれど、だからこそ手元に置いておきたくないんだ。
旺太くんとお揃いだと思って頑張って手に入れたそれは、旺太くんが彼女のために買ったものだから。



