ラブホリック。



「もっ…、もしかして、」

和葉が、あたしと『ゆなのそっくりさん』を交互に見る。
驚くのも無理はない。
彼女は今日も『ゆな』だった。

「違うよ。すっごく似てるけど、違うの」

あたしの腕を掴んで興奮している和葉に言い聞かせる。
落ち着いて見てみたらわかる。
輪郭が違う。ほお骨の高さが違う。

旺太くんに向かって手を振る彼女は、あたしたちの知ってる『ゆな』じゃない。


「悪いけど、行くよ」

立ち上がった旺太くんを見上げたあたしと和葉。
頭の中に浮かんだ言葉は、きっと一緒。


『彼女は、旺太くんのカノジョ』


それを受け止めたとき、あたしの中に一瞬の静寂が訪れた。
消灯時間を過ぎた病室。
緊張で覆われた受験会場。
その静寂と、どこか似ている。
耳鳴りがしそうな静寂から抜け出すには、自分でどうにかするしかない。


「あ……、ごめん、なさい。約束、あったんだね」

熱くなったのどを通り過ぎた声は震えていた。
「動揺してます」と、自ら告白しているようなものだ。
膝の上で握りしめた手に視線を落とした。

「付き合わせてしまって、すみませんでした」

あたしの代わりにもう一度謝ってくれた和葉。
こんなとき、心強いと思う反面、虚しさは倍増してしまう。
和葉に余計な感情を与えてしまったと、申し訳なくも思う。