「えぇっと、……」
うつむきスカートを握りしめたあたしの腕に、和葉が肘で刺激を与えてくる。
わかってるよ。
待って。今、思い出してるところだから。
用意していた言葉を慌てて引っ張り出そうとするけれど、焦って上手に掴めない。
とりあえず、落ち着こう。
熱くなったのどを冷やそうと、アイスティーを流し込む。
そんなあたしを見て旺太くんが、ふぅ、と。困ったような、呆れたような息を吐き出した。
「あっ…、あのですね、……えっと、」
焦ったあたしはスクールバッグに手を伸ばす。
ファスナーを勢いよく開け、底に横たわるそれを掴んで取り出した。
「あたしも買ったの!いいよね、これっ。すっごく気に入っちゃった!」
テーブルの上に置いたのは、旺太くんとお揃いのオイルトリートメント。
旺太くんに会えますように、と。お守りがわりに持ち歩いていた。
射し込む陽の光を浴びたガラスのボトルを見て、旺太くんが瞬きをひとつ。
「あぁ…。それ、」
コツ、コツ、コツ
旺太くんがなにか言おうとしたとき、すぐ近くで窓ガラスを叩く音がして、三人ともが視線を移した。
「あっ!」
「えっ!?」
「あぁ、」
窓ガラスを叩いた人を目にした三人の反応は、それぞれで。
あのとき見た、あの子だ。
もしかして、『ゆな』!?
旺太くんの発した、「あぁ、」に当てはまるものは、想像つかなかったけど。



