***
この扉を開けたら、なにかが変わる。
そう思ったら、のどがゴクリと音を立てた。
『駅の近くにある美容院に入っていくところを見たよ。一週間くらい前、だったかな』
千穂が、あたしの描いた王子様を指さしてそう言った。
『まちがいないよ。この人だった』
そう言ったんだ。
「……よしっ」
小さく気合いを入れたあたしは、古びた、……アンティークとでも言うべき?金色の丸いドアノブに手をかけた。
白い壁。大きな鏡。赤い椅子。こげ茶色の床。
目に飛び込んできた扉の向こう側の世界を、ぼんやりとしか捉えていない。
ここの内装がどんなだか、そんなのはどうでもよくて。
ここに、王子様を知る人がいるのだろうか。
それしか頭になかった。
「こんにちは」
あたしが足を踏み入れると、女の人が笑顔で近づいてきた。
うわぁ。
きれいなひと。
ミルクティーブラウンの、肩より少し長めの髪。
長い睫毛と、濁りのないうすいピンクの唇。
大きめの白いシャツと、パールのピアス。
ほっそりとした指には華奢なゴールドの指輪。
物足りないというのではなくて。
無駄がない、というべきだ。
下手に飾りつけたりしない。
それがとてもしっくりきていて、素敵なのだと思った。
この扉を開けたら、なにかが変わる。
そう思ったら、のどがゴクリと音を立てた。
『駅の近くにある美容院に入っていくところを見たよ。一週間くらい前、だったかな』
千穂が、あたしの描いた王子様を指さしてそう言った。
『まちがいないよ。この人だった』
そう言ったんだ。
「……よしっ」
小さく気合いを入れたあたしは、古びた、……アンティークとでも言うべき?金色の丸いドアノブに手をかけた。
白い壁。大きな鏡。赤い椅子。こげ茶色の床。
目に飛び込んできた扉の向こう側の世界を、ぼんやりとしか捉えていない。
ここの内装がどんなだか、そんなのはどうでもよくて。
ここに、王子様を知る人がいるのだろうか。
それしか頭になかった。
「こんにちは」
あたしが足を踏み入れると、女の人が笑顔で近づいてきた。
うわぁ。
きれいなひと。
ミルクティーブラウンの、肩より少し長めの髪。
長い睫毛と、濁りのないうすいピンクの唇。
大きめの白いシャツと、パールのピアス。
ほっそりとした指には華奢なゴールドの指輪。
物足りないというのではなくて。
無駄がない、というべきだ。
下手に飾りつけたりしない。
それがとてもしっくりきていて、素敵なのだと思った。



