「話そうと思ってたけど、タイミングがわからなくて」
……タイミング?
タイミング、って?
カップに口をつけた旺太くんをまじまじと見つめていると、あたしの視線に気づいて、ケホッと小さく咳払いをした。
「拓海とあんたみたいに、会ってすぐ近況報告できるような、そんな仲じゃないから」
店内の照明の、やわらかなオレンジ色の中で目を伏せた旺太くんが、ひどく魅力的に映ったからなのか。
あたしはなにも言えなくなってしまった。
「ところで。これ、なに?」
「……あ、」
旺太くんが、横に置いていた紙袋を手に取る。
あたしがトモキさんに託した紙袋だ。
そこから取り出された赤い袋には、白い雪の結晶のイラストが散りばめられ、口にはゴールドのリボンが縛ってあった。
「お詫びというか。……お礼というか。旺太くんの好みとか、わからなくて。似たようなものを選んじゃったけど」
昨日はジャージ以外にも、タオルとTシャツを借りてしまって。
そのまま返すだけでは申し訳ないと思った。
だから、借りたのとよく似たデザインのものを探して、ラッピングをお願いしたんだ。
クリスマスも近いし、仕方ないと思うんだけど。ほんとは、ふつうのがよかったな、なんて。
だって。
昨日の出来事のお詫びとしては、似つかわしくない柄のラッピングなんだもん。
「べつに、いいのに」
旺太くんは、その浮かれた赤い袋に視線を置いたまま、そう言った。



