「えっ?なんで?」
それでも彼がキョトンと不思議そうに首を傾げるので先生に何か言われる前に彼の手を引いてとりあえず図書室を出て廊下に向かい合うように立った。
「なんでって、図書室なんだから静かにしないと…ってどこ見てるの?」
花穂は彼の目を見て話しているのに当の辻本君は花穂の話を全く聞いておらず自分の手を指さし、ニヤッと笑いながら
「佐野さんって意外と積極的なんだね。ビックリしたよ」
とからかい口調で言ってきた。
何のことを言っているのか怪訝に思いつつ、ふと右手が温かいなと思い下を向いた瞬間思わず叫び声を上げそうになった。
「違う!これは…!」
慌てて辻本君から離れ右手も離したが彼は
「ふ~ん。へえ~。」
と言うだけでこっちの話など全く聞いてくれそうになかった。