きっかり二時間後。 チャイムが鳴って、玄関のドアを開けると、ツキトが立っていた。 先ほどのスーツ姿ではなくて、七分袖の黒いシャツにジーンズ姿で、髪の毛もくしゃりと崩している。 シルバーの腕時計は、そのままだ。 「良かった。アヤちゃん、逃げなかったんだね?」 なんて、意地悪そうに笑ったりするから、 「だって。あたしの家なんだから、逃げようがないでしょ。」 そんな風に返したりして。 「それもそうかぁ。」 ふわりと笑った。 .