「とにかく、寒いから早く乗って。」 助手席側のドアを開けたあたしを、いつものように手を伸ばして引っ張り上げてくれた。 そのまま繋がれたツキトの手のひらは、やっぱりぬくい。 「アヤちゃん、髪、可愛いよ。すっごく似合ってる。」 ツキトの指が、あたしの髪を優しく撫でた。 その指先が気持ちよくて、ただただツキトに気持ちを委ねた。 「あたしね、あたしに戻るの。」 小さな声で呟けば、 「そっか。それは良かった。」 優しく微笑んでくれた。 .