子犬のような丸い目をした彼は、 「なんにも食べていないんでしょ?何か食べたほうがいいよ。」 あたしの目の前に小さなビニール袋を突き出した。 「……。」 無気力な目で見返したあたしに、ビニール袋を受け取る意思がないと判断したらしい彼は、 「ここに置いておくから。少しは食べないと死ぬよ?」 あたしが座るベンチの余白に袋を置いた。 「じゃあ。」 ぽかんとするあたしをよそに、それだけ言うとあたしに背中を向けて、歩いていってしまった。 .