更新中〜時渡りの少女と浅葱色の仲間達〜

誠「ん〜どこここぉ」

目を覚ますと桜の木のある丘の所ではなく どこかの天井のようだった

?「起きましたか。気分はどうですか?」

美少年が心配そうに顔を覗き込んできた

誠「ぇ…ぁ…はぃ、一応…大丈夫です…。
あの、誰ですか?あっ、私は神月誠空と言います」

沖「あぁ、僕は沖田総司です」

にっこりと笑っているようだが 目が笑っていない

沖「心配しました。あなたは熱で3日も寝込んでいたんですから」

3日もぉ!と考えていたのがバレたのか クスッっと笑われた

障子が開く音がし見てみると そこには美男性が壁にすがっていた

?「総司、起きたなら俺の部屋に連れて来いと言ったはずだ。なんで来ねぇんだ」

はぁとため息をつく

沖「今から土方さんの所に連れて行こうとしたんですよ。起きれそうですか?」

私は起き上がりぐっと蹴伸びをした

そして沖田さんの後を追い 土方さんの部屋に入る

土「おいっ単刀直入に言う、お前は誰だ」

キッと目を釣り上げ睨んでくる

こういう時って正直に言ったほうがいいやつだよね…

でも…

正直に言ったら殺されそう…

迷っていると土方さんは刀を抜き 首に当ててきた

汗が首をスーっと流れていく

正直に言わないと…

誠「私は160年先の未来『東京』この時代で言う江戸から来ました。」

刀は首を付き抜きそうなくらいに力を入れられた

土「本当のことを言え」

さらに力を入れて突き直してくる

誠「本当なんです。長州の間者じゃないし、貴方達の名前も言えるし、流派も言える。そして貴方達の未来も知ってる」

プツン嫌な音を立てて首が切れた

怖くなったがそれでも続ける

誠「土方歳三、豊玉発句集の豊玉さん。梅
の花 一輪咲いても うめはうめ」

土方さんの力が緩み 私は勝ち誇ったように続けた

誠「他にも春の草 五色までは 覚えけり   水の北 山の南や 春の月などなど」

首がまた切れてズキズキと痛む

これ深くいったなぁ…

流石に言い過ぎたかな…

沖田さんが急に吹き出して笑いだした

土方さんは顔を真っ赤にして 時が止まったように固まってしまった

沖「君の事認めますよ。あんなに堂々としてられた女の子は、忍びと間者以外で初めて見ました。」

沖田さんはニコッと笑い首を触った

沖「山崎君、手当てお願い」

そういえば医学を心得ているんだっけ?

丞「話は聞ぃとった。ほんま肝が座っとるな。どや?これで痛くないはずや」

包帯で巻かれているのに違和感がない

誠「ありがとうございます」

すると 固まっていたはずの土方さんが指示を出していた

丞「わかりました、幹部のみ連れてきたら
いいんやね」

そういえば山崎さんって 関西人って伝わってたっけ?

沖田さんも呼びに行くと言い 土方さんと二人きりにになってしまった

沈黙が続き耐えられなくなった所に 沖田さんと二人入ってきた

一人はしっかりとした体格で お父さんみたいに優しそうな人だ

もう一人は眼鏡をしていて ニコニコしていてこちらも優しそうだ

…にしても会話がなく シンとしている

そこに山崎さんと十二人ほど入ってくる

何か言い天井へ戻ろうとしたが土方さんに捕まり部屋に残ることになった

土「今からこいつのことについて会議を行おうと思ってな。自己紹介しろ」

誠「新月誠空、十四歳の女。160年先の未来から来ました。『東京』今の時代で言う江戸出身です。貴方達の未来も知っているし名前も言えます。」

私は一度間を置きみんなの顔を見回した

誠「私の居た時代には…、着物を着ている人も…刀を持ち歩いている人も…武士もいない。………幕府は存在しない」

すると 胸ぐらを掴んで来た人がいた

?「そんなでたらめ言うなっ。てめぇに何がわかる」

バチンっ

右の頬に激しい痛みを感じたと同時にぶっ飛んでいった

畳に身体が叩きつけられて打って来た男は押し倒され また胸ぐらを掴んで思いっきり殴ろうとしてきた

覚悟してギュッと目を瞑り痛みを待ったが 一向にこない

誠「どう…して…?どうして…殴らない
の?未来の事…知ってて…、貴方達の事…苦しめちゃったのに…」

殴られた頬の傷みなのか

彼らの気持ちを思ってなのか

訳がわからないが 自然に涙が出てきて手で顔を覆った

沖「永倉さん、気持ちわかりますけど…人を殴っていいんですか?特に女の子を」

黒いオーラに包まれた沖田さんが 永倉さんに向かって笑いかける

永「……でもよ、総司も実際は頭にきてんじゃねぇか?別の時代から来た女子に急に"幕府は存在しない " "刀は持っていない" なんて言われて…」

永倉さんの言うことは間違っていない

私が単刀直入過ぎたんだ

誠「ごめんなさい、でも本当の事なんです。信じられないのも当然ですし、信じなくてもいいです。誰か一人でもいいです。少しでも私が言った事を…覚えててほしいんです」

私は頭を畳につけて言った

誠「剣も使えないし、皆さんに迷惑をかけ
てしまうと思いますが、絶対に役に立ってみせます」

私はずっと頭を下げていた

?「頭を上げなさい 神月君」

お父さんみたいな人が言った

近「私は近藤勇だ。安心しなさい、悪い人はいない。だから此処にいなさい」

優しく頭を撫でられる

それが少し嬉しい自分がいる

近「いいかい、もう泣いてはいけない。此処に住む代わりに、この人達より人より強くなりなさい」

柔らかく強い声が私の涙を拭ってくれるようだった

私はゆっくり顔を上げる

殴ってきた人以外 優しい表情をしている

近「皆、自己紹介しなさい」

近藤さんは皆の目を見て言った

土「此処の副長をしている土方歳三だ。
怪しい行動したりしたらぶった斬ってやるからな」

また土方さんはキッと睨みつけてきた

山「私も土方君と同じ副長をしています、山南敬助です。何か解らない事があれば何でも聞いてくださいね」

山南さんは柔らかく笑った

沖「先程もいいましたが、一番隊隊長をやっています。沖田総司です。宜しくお願いしますね、誠空さん」

先程とは違う優しい笑顔だ

永「二番隊組長、永倉新八だ。さっきは済まなかった…。これから宜しくな」

申し訳ない顔をして 頑張って笑おうとしてくれた

齋「三番隊組長の齋藤一だ。宜しく頼む」

クールに挨拶をすまして 唯一の無表情だが 優しい雰囲気をまとっていた

松「四番隊組長の松原忠司です。宜しくお願いします」

ニコニコしていて優しそうだ

武「5番隊組長の武田観柳斎です。これから宜しく」

無表情に近いが 口角が少し上がっている

源「6番隊は組長の井上源三郎だ。源さんと呼んでくれ。これから宜しくな」

優しそうだし話しやすそうだ

藤「俺は8番隊組長、藤堂平助って言うんだ。宜しくな」

子犬みたいでかわいい笑顔が彼のチャームポイントだろうか

原「俺は10番隊組長、原田左之助だ。好きなように呼んでくれ。宜しくな」

なんだか皆より大人なお兄さんみたいだ

丞「わいは諸士調役兼監察の組長に位置しとる、山﨑丞や。医療も心得とる。宜しゅうな」

関西弁で太陽みたいな笑顔が目立っている

島「任務の報告に来ました。失礼します」

ハキハキした声が部屋に響く

近「元気がいいな、新しい隊士が増えたんだ。自己紹介しなさい」

ハイっといい私を見て言った

島「俺は、諸士調役兼監察の副隊長の島田魁です。宜しくお願いします」

どこまでも明るいなぁ

土「もう一人紹介したい奴がいる」

そう言い出ていった…と思うと帰ってきた

鉄「僕は土方副長の小姓をさせて頂いてます、市村鉄之助と言います。これから宜しくお願いします」

ペコリとお辞儀をする

誠「神月誠空、十四才です。改めて宜しくお願いします」

ニコッと笑うと数人程度頬を赤く染めた

風邪かなぁ?(どこまでも無自覚な誠空ちゃんでしたbyのの)

これから私の新しい生活が始まるんだ

頑張ろう

頑張って自分の身は自分で守れるようになろう

いや

絶対に強くならないといけない

これから先きっと 色んな出来事があるだろう

未来を知っているからではない

目を背けたくなるほど 辛く悲しい出来事が沢山あるだろう

幸せと思ったり 面白い出来事が沢山あるだろう

いや

あるんだ 

沢山の出来事が私達を待っているんだ

私を成長させてくれる時代なんだ

だから死んだのにこの時代に送られたのだろう

前向きに考えないと気持ちが押しつぶされそうなんだ

今にも心臓が割れそうなんだ

そんな気持ちを心にしまい すべてを受け止めようと心に決めた