伝えたい気持ち

「はーい。会議はこれで終わり。みんな、帰って良いよ。」
先生が手をパンッと叩きながら皆に言った。
「じゃあ、俺たちも帰ろうか。」
「そうだね。」
結局、会議の間、緊張して一言も話せなかった。落ち込みながら帰りの用意をしていると先に準備を終わらせているはずの白里君がまだ隣にいることに気づいた。
「えっ?」
「ん?」
佳織が思わず不思議そうな声を口にだしたからか白里君がこちらを向いた。
「 えっと、帰らないの?」
「あ~。一人も寂しいし、どうせなら下駄箱まで一緒に行こうかと思ったんだけど、嫌かな?」
白里君が不安げにこちらを見ている。いつもの大人びた表情ではなく子供のような顔に胸が締め付けられるような思いを感じた。
「嫌じゃない!」
全力で否定し、首を振る。
「よかった~。」
白里君が笑顔を浮かべ、つられて佳織も笑顔になった。しかし、続く言葉で息が止まった。
「吉田さんと話してみたかったから。」
「えっ?」
佳織が思わず手を止めると白里君が慌てて手を振り、
「いや、変な意味じゃなくて!ただ単純に仲良くなれたらな~と思って。」
「う、うん。」
返事をしながら自分の顔が赤くなっているのが分かった。
「恥ずかし~。」
「えっ?」
「いや、何でもない!」
まさか、心の声が口にでていたとは思わず、下を向いた。