「春樹くぅ~ん! 今日の放課後なんだけど、二人だけで遊びに行こう!」


「……お前、金もってるのか?」


「ええっ、愛奈お小遣いピンチだしぃ~」


「じゃあ、行かねえ」


「そんな! 春樹くん、つめた~い!」


 年上の春樹は、妹を恋愛の対象として見てない。

 まったく相手にされてない妹は親指の爪を前歯でガリガリ齧り、イライラを増幅させていた。


 体を密着させて抱きついたり、甘えるような声でおねだりしても、春樹には通用しない。

 同級生の男子だったら効果があるかもしれないけど、相手にされてなかった。

 校内だから他の生徒も見てるのに、お構いなしで抱きついてる。



 中学生の私は、その光景を目にして頭を抱えていた。