ー1話ー


「咲良。」


トントン、と肩を叩かれ、
私は我に帰る。


「え、なに?」


親友のウメちゃんが、
無言で黒板の方を指を指した。



「さっきから何度も呼んでますよ、松村さん!?」

ギロっと睨みを聞かせる国語担当の先生。

「...すいません」


クラスの子たち、笑われながら、
私は静かに俯いた。


「体育じゃなくて、今、国語ね」

そう言いながら、ニヤッと笑うウメちゃん。


「ウメちゃん〜...!」


最後にチラッとだけ。


私は、窓なら見える運動場を見つめた。