飛行機が着陸する。約半日のフライトは、特段なにかあったわけではないけど、やっぱり疲れた。


(着いたなぁ~。)


思わず、1つ大きく伸びをした私は、キャビンアテンダントさんのアナウンスに従って、機内を後にする。


約2年ぶりの帰国。諸手続きを済ませ、ゲートを出ると、そこは紛れもない生まれ育った我が国。当たり前だけど、目につく看板や表示物全てが日本語。なんとも懐かしい思いで、歩を進めていると、私の視界に、見慣れた、でもやっぱり懐かしい顔が。


(えっ・・・?)


私がやや戸惑い気味に立ち止まると、こちらに気付いた向こうもなぜか固まっている。


(しゅう)。」


呼び掛けた私に


「お、おう・・・お帰り。」


ぎこちなく答えてくる。


「あんた、こんな所で何してんの?」


近付いて、最初に口をついて出た言葉がこれ。あとで冷静に考えれば、いや冷静に考えなくても、私を迎えに来てくれたに決まってるのだが、この時は秀がここにいるのが、あまりにも意外で、こんな間の抜けた問いを発してしまった。


それに対して秀の方も


「い、いや・・・。」


となにやら煮え切れない答え。気まずい沈黙が少しあって


「まぁ、なんだ・・・その無事に帰って来たんならなにより。じゃ、そういうことで。」


取り繕うように言った秀は、ちょこんと頭を下げると、そそくさと立ち去って行く。


「誰?」


横にいた同行者が不思議そうに尋ねて来たので


西川(にしかわ)秀。幼なじみなんだけど・・・。」


私が答えると


「フーン。」


秀の後ろ姿を見送りながら、彼はなんとも言えない声を出した。