「あの後、篠原くんが教えてくれたんだ。将来の夢」
「え?灰谷だけに?」
「うん」
いつの間に篠原とそんなに仲良くなっていたんだろう。
篠原が灰谷だけに教えるだなんて。
「それがね、警察官になりたいんだって」
「警察官?」
「なんか、守りたいものがあるみたいだよ。それ聞いたときに、あー、俺の完敗だなあって思った」
篠原が警察官……
それに守りたいもの……
鈴香ちゃんが前に言ってた。
誰かにつけられてたことがあって、篠原が助けてくれたと――
きっとそのことがきっかけだ。
篠原の守りたいものは鈴香ちゃんだ。
本人から聞いたわけではないのに、私は確信していた。
「それにね、いつも俺のこと篠原くんのことが好きみたいな感じで、のんちゃんふざけてくれたでしょ?」


