あれからのわたしはおかしい。
翔哉くんの姿を見るだけで、胸が苦しくなる。
目も合わせられないし、うまく話しかけられない。
恋をするとみんなこうなるの……?
「野々村さん、なんでそんなに離れてんの?」
登校中、いつもなら半歩後ろを歩いていたのに。
今日は2歩後ろを歩いていた。
それに、今日は“すず”って呼んでくれないんだって悲しくもなった。
「あ、そうだ。今日から部活ないから」
「え?」
翔哉くんはいつも言葉が足りない。
きっと今も、部活がないから早く帰れるということを言いたかったんだと思う。
「うん、わたしもないよ」
それだけ答えると、翔哉くんはなにも言わなかった。