「っこ、この女が悪いんです!いきなりぶつかってきやがるから…ゔっ」
男が弁解しようとしたところを、すかさず彼が鳩尾に蹴りをいれる。
「…っ」
目の前で繰り広げられた光景に思わず唾を飲んだ。
「お前の意見は聞いてねぇよ。いいか、よく聞け。今後一切俺たちのシマには近寄るな。お前らの顔は割れてるから変なこともするんじゃねぇ。…分かったらさっさと散れ」
ドス黒いほど低音な声でいうと、さっきよりも一層蒼白気味で男たちは走り去っていった。
…この人、ほんとうに何者なの?
さっき【紅蓮】って聞こえたけど、わたしが探し求めている紅蓮なのかどうか…。
すると、私の肩にふわっと着ていた上着をかけてくれた。



