そう言って、林渡くんがニッコリ笑う。まさか、寝てるときに部屋の中へ入ってくるとは…!彩響はぱっと体を起こし、大きい声で叫んだ。


「目覚めるも何も、なに勝手に入ってるのよ!」

「だって、「入ってくるな」とか言われてないし。なに?寝顔見せられて恥ずかしくなったの?大丈夫、俺そんなこと気にしない心広い男だから。」

「なにふざけたこと言ってるの?違います!」

「別にいいじゃん、だって、このまま寝てたら遅刻だよ?俺に感謝しなよ、こんな可愛くてイケメンの家政夫さんがモーニングコールまでしてあげるんだから。」


この子の図々しさにはもう呆れて言葉が出てこない。彩響が言葉を失いただ口を開けていると、林渡くんがこっちの肩をとんとん叩いて部屋を出た。そして、出る直前にこう言うのも忘れなかった。


「彩響ちゃんて、寝るときお腹出して寝るんだね。おへそ丸出しで可愛いね。」

「なっ…!!!」


そう言われ、彩響は顔が熱くなり布団でお腹を隠した。お腹を出して寝るのは昔からの癖だけど、改めて指摘されたらなんだか恥ずかしくてたまらなかった。いや、それより…。

「なんで私、こんなくだらないことであのクソガキに一々振り回されているの?!」

そう、問題はそこだ。なぜ自分はあの幼い家政夫のペースに巻き込まれて顔が熱くなったりしているんだろうか。平常心、平常心…。深呼吸してベッドから立ち上がり、彩響は両手を上げ大きく背伸びをした。そしてそのタイミングで、又ガチャッと扉が開いた。

「あ、又へそ出してる。そんなに俺に自分のへそ見せたいの?彩響ちゃんて、へそ出し姫なんだね。」

「ああもうーーー!今すぐ出て行けー!!!!」


ー峯野彩響、思わず「おへそ露出狂」という謎の称号を手に入れてしまった朝だった。