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話し終えた瞬間冷たい手が美聡の頬をなでた気がした。


ハッと息を飲んで振り向くけれどそこには誰もいない。


他のメンバーを確認してみると、隣に座っていたセナ、そして直人も後方を気にしているのがわかった。


みんな、すでに怖い話を終えたメンバーだ。


「すっごく怖かったね……」


そう言いながらも平気な顔をしているのは真紀だ。


平気そうだけれど鳥肌が立っているのか、さっきからしきりに腕をさすっている。


「あぁ。なんか寒くないか?」


そういったのは実だ。


「オレも寒い」


和輝が同意する。


他のメンバーも口々に寒いと口にして、その息は夏だと言うのに白いモヤになって消えていく。


「私、さっき誰かに頬をなでられた気がした」