そう思った次の瞬間美聡は自分でも無意識のうちに4年生のドアに手をかけていた。


そして大きく開く。


冷気がブワッと溢れ出して真夏の暑さを一瞬にしてかき消した。


ふわりと前髪が舞い上がった美聡はその場に立ち尽くす。


教室の中は乱雑に物が押し込められていて、机や椅子は古くて壊れたものばかりが集められている。


ここは教室じゃない。


倉庫だ。


そう思ったとき、ようやく教室の表札が視界に入った。


4年4組。


それは今あるはずのない4年4組の教室だったのだ。


瑞穂から聞いた話が脳裏に蘇り、全身に鳥肌がたつ。


すぐに逃げ出したいのに、足が棒になってしまったかのように動くことができない。


呆然として教室内を見つめていると、ガタンッと大きな音がした。


積み上げられていた椅子の1つが勝手に動いたのだ。