その話のし始めたとき瑞穂の表情はさっきまでよりも固く、そして慎重な声色に変わっていた。


重厚感のある声に美聡は呼吸をすることも忘れて聞き入ってしまう。


「これは本当に起こったことだから、気をつけてね」


瑞穂は最後にそう締めくくった。


話を聞き終えた美聡はその場で深く息を吐き出した。


ずっと教室にいたはずなのに、瑞穂の話を聞いている間は他の声が全然入ってこなかった。


それほど集中して聞いていたのだ。


「わかった。ありがとう」


そう言って立ち上がった時、初めて自分がずっと拳を握りしめていたことに気がついた。


手のひらを開いて見ると、そこにはジットリと汗をかいていたのだった。