「どう?」


瑞穂に聞かれてハッと顔を上げる。


「ごめん。そういうんじゃなくてさ、この街で実際に起こった事件とか、そういう噂ってないのかな?」


直人もセナもそういう怖い話を準備してきていた。


瑞穂の話も十分に怖かったけれどまだ少し違うみたいだ。


瑞穂は腕組みをして「う~ん」と唸り声をあげる。


必死に記憶をたどっている様子に美聡は不安になってきた。


もし瑞穂から話を聞くことができなければ、今日の放課後みんなに怖い話を披露することができない。


そうなると私の番で都市伝説を止めることになってしまうのだ。


それだけは避けたかった。


みんな優しいから自分を責めることはないだろうけれど、ガッカリさせてしまうことになるだろうから。


「じゃあ、こういう話はどう?」