途端に大きくなった瑞穂の声に思わず悲鳴を上げてのけぞった。


そのまま椅子ごと後方に倒れ込んでしまいそうになったけれど、どうにか足に力を込めてとどまった。


「どう? 怖かったでしょう?」


美聡の反応を見て満足そうに微笑みながらそう聞いてくる。


美聡は早鐘を打っている心臓を鎮めるために深呼吸をした。


「そりゃ怖いよ。瑞穂は話し方が上手なんだから」


そう言って睨みつけると瑞穂はまるで褒められたときのように頬を赤らめた。


「えへへ、ありがとう」


なんて言っている。


「でね、次の怖い話なんだけど」


「ちょっと待ってよ。まだあるの?」


続けて怖い話をしようとする瑞穂を慌てて止める。


瑞穂はキョトンとした表情を浮かべて「いくつもあるって先に説明したでしょう?」と、首をかしげている。