途中でその時の自分の様子を思い出したのか、母親はプッと吹き出した。


また帰宅したときのようにおかしいくらい笑われると怖いので、美聡はすぐに話しを勧めた。


「それで、1人でのたうち回りながら笑ってたの?」


「あら、お母さんのたうち回ってたかした?」


「してたよ。ちょっと怖かったんだからね」


「ごめんごめん」


美聡は本当に怖かったのに、母親は特に気にしている様子もなくテーブルの上のお菓子をつまむ。


もっとちゃんと謝ってほしくて少しムッとしたけれど、とにかく母親は正常なようなので安心した。


そのまま自分の部屋へ向かおうとしたけれど、ドアを開けたところで足を止めた。


「そうだお母さん。お母さんってこの街についての怖い話って知ってる?」


「怖い話?」