そう思ったセナは東屋の周囲に素早く視線を巡らせてみるけれど、椅子に座っている8人以外は誰もいない様子だ。


「どうしたの?」


美聡が不思議そうな表情をこちらへ向けたのでセナは慌てて「さっき、肩を叩かれた気がして」と説明した。


すると美聡は更に青い顔をして「誰もセナの肩を叩いたりなんてしないよ。私達以外誰もいないし」と答えた。


セナは一瞬にして言葉を失う。


だけど今でもハッキリと手の感触を覚えていた。


確かに誰かが自分の肩をポンッと叩いたのだ。


そのときにとても冷たい空気が動いたことも鮮明に思い出すことができる。


絶対に勘違いなんかじゃないのに……。


そのときセナはハッと息を飲んだ。


冷たい空気が動いた?


どうして?


今はこんなに暑い夏なのに。