誰かを呪うために悪魔を呼び出すのも、死んだ誰かとまた会話したくて霊を呼び出すのも、相手の気持ちなんて考えていないんじゃないだろうか。


「セナ、難しい顔してどうしたの?」


美聡に声をかけられてハッと我に帰った。


つい難しいことを考えて、周りの声が聞こえなくなってしまった。


「もしかして、あたしたちのことを恨んでいるかもしれない。そう思ってた?」


真紀の言葉にセナは勢いよく顔を上げたが、なにも言えなかった。


ここにいるみんなが真紀を見つめている。


今の真紀の言葉は8人全員が心の中で感じていたことで、だけど誰も今まで口に出してこなかったことだった。


沈黙が流れる中真紀以外の3人の顔が青ざめていく。


今までは誰も言葉にしてこなかったから自分の勘違い、思い込みのせいだと思うことができていた。


だけど1人が口に出してしまったことでそれは崩れてしまったのだ。


「冗談よ。そんなの本気にしないで」


遅れて真紀はそう言ったが、もう誰もなにも言わなかったのだった。