直人の様子がおかしいのは怖い話を準備できなかったせいだと思っているセナは、おずおずおと声をかけた。


「え?」


「確かに直人が提案したことだけどさ、怖い話なんてそう簡単に集まるわけじゃないってわかってるしね」


セナの代わりに美聡が言った。


そんな2人を交互に見て直人はまばたきをしている。


「2人共なにか勘違いしてるみたいだけど……」


直人がなにかいいかけたとき、公園の入口から話声が聞こえてきて口を閉じた。


視線を向けるとそこには他のメンバーがそろっていて、こちらへ向けて歩いてくるところだった。


「みんな揃ったみたいだね」


直人はそう言うと、大きく息を吸い込んでブランコから立ち上がったのだった。