剛はそう言うと怖がっている直人をおいて先に歩きだしてしまった。


手をひかれないのならこのままここに残っていようか。


直人の脳裏に一瞬そんな気持ちが浮かんできた。


実際に足が動き出したのはそれから数秒経過してからだった。


勇気を出してもう1度駅のロッカーを見に行ったが、そこにあるのは赤いテープでグルグル巻にされた背の高いロッカーで、もう隙間ほども開いていなかったのだった。