「どこで?」


「学校の近くの公園」


嘘はついてない。


浩はなるべく母親と視線を合わせないように玄関を上がり、手を洗うために洗面所へ向かった。


「学校がある日も帰りが遅いじゃないの」


「ごめん。もうすぐ夏休みだからなにしようかってみんなで計画を立ててるんだよ」


「そう、それならいいんだけれど」


鏡越しに見た母親の表情はまだ心配そうだ。


浩は小さなころから女の子みたいに可愛かったから、その分過保護になっているみたいだ。


「心配しなくても大丈夫だって。ひとりでいるわけじゃないんだから」


浩はそう言って笑いかけ、自分の部屋へ逃げ込んだのだった。