だけど直人が話していたようなリアルな怖い話はあまり知らなかった。


テレビニュースでやっていた事件とか事故の話ならできるけれど、それはまた違うものだ。


「う~ん、なにかあるかなぁ?」


ゴロンと寝返りをうち、サイドテーブルに置いてある文庫本を手にする。


今日都市伝説の本を返した時ついでに借りてきた恋愛小説だ。


現役高校生が書いた作品ということで有名になっていて、漫画にもなっているらしい。


漫画も気になるけれど、まずは原作を読んでからだと思って借りてきた。


そして本を開くとすぐにその世界に引き込まれる。


真紀は怖い話を見つけることなんて忘れてしまって、恋愛の世界に入り込んで行ったのだった。