そんなことを考えながらみんなと同じように最後まで動画を見た。


これを、本当に自分たちでやることになるとは思ってもいなかったけれど、直人は本当に怖い話を準備してきた。


それもこの街にまつわる実際に起きた出来事だ。


直人の話し方はとても上手で、聞いていて無意識に手を強く握りしめてしまっていた。


話の中に出てきたロッカーはまだ実在していて、駅へ行けば見ることもできる。
それを知った瞬間に背筋がゾクリと寒くなった。


直人はこの話に自信を持っている。


だからそんなことまで説明できたのだと感じた。


実や和輝あたりなら実際にロッカーを見に行きそうだし、そのときにロッカーがなければ怒りはじめることだって目に見えているから。


「リアルな怖い話かぁ」


家に戻ってきた真紀はベッドに寝転がってつぶやいた。


怖い話なら沢山知っている。


どれもこれも本で得た知識だ。