「隣に暮らす大学生の女の子は、男の運転する車で帰ってくることもあるし、そこの用水路の亀は親子亀だ。背中に子供を乗せて水面に出てきたりしてるんだけど、見たことあるかい?」


噂ならなんでもいいと思ったのだろう、それからもどうでもいいようなご近所ニュースが次から次へと披露されていく。


途中で口を挟もうとしても、それを許さないくらいのマシンガントークだ。


これで更に『怖い話はないですか?』なんて質問をしようものなら、夜になっても帰れないかもしれない。


和輝はたっぷり30分も無駄な話を聞かされて、ようやく開放されることになった。


「今日は話ができて楽しかったよ! また話そうな!」


男性は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて和輝に手をふる。


和輝はヘトヘトになった笑顔でそれを見送り、ようやく夕飯を買うためにコンビニの店内に入ることができたのだった。