噂の出どころは動画だし、みんなに笑われて終わってしまうんじゃないかと心配していたのだ。


それが、みんなからは予想外の反応があった。


結果、やってみようということにもなったから、あのとき勇気を出してみてよかったんだ。


「でも、問題はトップバッターの僕が怖い話を用意できるかどうかだよなぁ」


直人はけだるげにつぶやいて先程の母親の反応を思い出した。


世間では怖いものは教育によくないものと考えている人も多くいるようで、怖い話をするだけで気分を悪くする人もいる。


だから、質問する相手には十分に気をつける必要があった。


「みんなが知っているような怖い話じゃダメだろうし、どうしようかなぁ」


学校に伝わっている夜の音楽室でピアノが勝手になり始めるとか、女子トイレの花子さんといったものなら、誰かに聞かなくてもみんな知っている。


それらだって立派な怖い話だと思うけれど、動画を見ている限りそういうものではダメそうなのだ。


もっと本格的で、身近で、現実味がある怖い話。