「史織」 そう言ってこちらに急ぐ朔埜にびくっと足が後ろに下がる。 こんなところまで追いかけて来た事を叱られたりしたら……謝りたいなんて思っていたものの、結局は会いたかっただと見透かされたらどうしよう。 それでいて、叱られたらきっと凄く落ち込む自分が予測できるのだから、やばいと思ってしまう。 戸惑っている間に朔埜が眼前に迫り、気付けば背中に手を回されて、くるりと反転されていた。 「戻れ」 「……?」 身を固くしたまま唐突に周り右をされて史織は混乱する。 「いいから戻れ。早よ」