「お姉ちゃん、今日はありがとう!」


太陽は水平線へと沈み始めて、海はオレンジ色に輝いている。


笑顔で手を振る岬くんの顔もオレンジだ。


岬くんの後ろには両親がいて、お世話になった香織へ向けて頭を下げている。


「またね! 今度は一緒にお山つくろうね!」


キッチンカーの助手席に座る香織は岬くんへ向けて大きな声で伝える。


「うん! 約束だよ!」


両足にきちんとサンダルを履いた岬くんの横を海坊主の男性が通り過ぎていく。


男性は香織に気がついて軽くウインクをしてきた。


香織は一瞬緊張して顔がひきつり、けれどどうにか笑顔で会釈をした。