明日、またキッチンカーを出すけれど、一緒に来るかい?


藤田さんから香織にそんなメールが送られてきたのは、香織が課題読書の幽霊船を読んでいたときだった。


物語は架橋を向かえ、主人公たちが誰もいなくなった船の中に入っていったとき、たった今まで誰かがそこにいたような気配があり、しかし船内には誰の姿もなく……と、香織が息を飲んだ。


その瞬間になり始めたキッズ用スマホにカオリは飛び上がるほどに驚いた。


実際に少し体が空中に浮いていたかもしれない。


誰だろう? と思って画面を確認すると、キッチンカーのお兄さんだった。


二度キッチンカーの手伝いをした香織と藤田さんはとても仲良くなって、番号交換までしてしまったのだ。