オレンジジュースを飲み干した香織がもう一仕事しようと旗を持って立ち上がったときだった。


どこからか女の子の泣き声が聞こえてきて耳を済ませた。


キッチンカーの右手から聞こえてきて視線を向けると、幼稚園くらいの女の子が地べたに座り込んで泣いている。


その子の隣には両親らしき人が困った表情で立っていた。


「どうしたんだろう」


「気になるから、行ってみたらどう?」


「いいの?」


「もちろん」


藤田さんからOKをもらった香織はすぐに女の子のそばへ駆け寄った。


女の子は地面に座り込んで泣いているため、随分と服が汚れている。