翌日、朝から雲が多く出ていて今にも雨が降り出してしまいような日だった。


香織は勉強机の上に置いた絵日記を見て満足そうに口角を上げていた。


昨日描いたのはもちろんキッチンカーについてだ。


沢山のキッチンカーが来ていたこと。


列を整える手伝いをしたこと。そしてバイト代としてクレープをもらったこと。



それらを読み直してみると誇らしい気分になって胸を張った。


でも、昨日のことは誰にも話していなかった。


この絵日記が完成したときに読んでもらって、びっくりさせるんだ。



「よし! 今日も行くぞ!」



絵日記を引き出しの中に片付けて、麦藁帽子を掴んで勢い良く部屋を飛び出した。


バタバタと足音を響かせてキッチンへ向かう。


「お母さん! 今日もキッチンカー行ってくる!」


「えぇ? 今日は雨が降るみたいよ?」


「え?」