「君には列を整理するっていう手伝いをしてもらったからね、これはアルバイト代として受け取って」


そう言ってクレープを入れた袋を差し出される。


香織は少し躊躇して、それからおずおずと袋を受け取った。


「本当にもらっていいの?」


「あげたんじゃないよ。バイト代だ」


「バイト代……」


口の中で呟くと、途端に嬉しさと恥ずかしさがこみ上げてきた。


なんだか自分がすごく大人になった気分だ。


「ありがとう!」


「あぁ。明日もここに来てるから、よかったらおいでよ」


「うん! 必ず来る!」


香織はそう言い、大きく手を振って広間を出たのだった。