謎解きキッチンカー

母親がキッチンから出てきて香りの横を通り過ぎ玄関を開ける。


香織は母親の後ろでピンッと背筋を伸ばして立っていた。


「こんにちは」


そう言って顔をのぞかせたのは久しぶりに見る藤田さんだった。


香織の緊張は一気にマックスまで到達して、まともに藤田さんの顔を見ることもできない。


「わざわざお礼なんてありがとうございます。さぁ、入ってください」


「お邪魔します」


藤田さんは普段のラフな格好とは違い、正装に近い服を着ている。


軽そうな紺色のジャケットに白いパンツ。


右手には紙袋、左手にはなぜか動物を入れるためのゲージが持たれている。


「香織ちゃん、久しぶりだね」


しっかりと掃除された和室に座り、藤田さんが声をかけてきた。


一枚板のどっしりとしたテーブルにはすでに冷たい麦茶が三つ用意されている。


「は、はい」