歩き出した途中で藤田さんに呼ばれて父親が足を止めた。



香織はビクリと体をはねさせてそろりと振り向く。


そこには満面の笑みを浮かべる藤田さんが、花火の光によって照らし出されていた。


「香織ちゃんのおかげで俺の探していたものも見つかったよ。ありがとう」


そうなんだ……。



香織はクシュッと泣きそうな顔になって、父親の背中に顔を押し付けた。


どっちにしても今日が最後だったんだ。


私の秘密は全部バレて、藤田さんの探し物は見つかって。


全部、めでたしめでたしってこと。


それでも香織は悲しくて、泣いていることを悟られないようにずっと父親の背中に顔を押し付けていたのだった。