そのまま早足で歩き出す。


なんだか無性に遠くへ行きたかった。


誰も知っている人がいない場所へ。


自分の恥を包み隠してくれるような場所へ。


歩きながら頬にいく筋もの涙が流れてきた。


涙をぬぐいながら、どうして自分が泣いているのかわからなかった。



周りの人たちはみんな空を見上げて微笑んでいる。


藤田さんも、探していた女性に出会えてとても嬉しそうだった。


それなのに、どうして自分はこんなにも悲しいんだろう?


どうして自分だけ、泣いているんだろう……。